3.火山活動と防災対策の経緯
(17)火山防災先進地に学ぶ活動


 噴火災害の体験のない岩手県で、有効な災害対策を構築するために先進地の事例に学び、体験することが大切である。わが国における、当時の先進事例は火砕流や土石流災害の予知と対策に長期わたって対応した雲仙普賢岳である。島原火山観測所長として奮戦した太田一也九大名誉教授を招いた98年8月11日の「雲仙普賢岳に学ぶ火山防災セミナ−」(INSと桐花会共催)には、約1700名と多数の防災関係者や市民が参加した。太田名誉教授は、98年9月12日から県の火山対策アドバイザ−に就任し、県主催の防災訓練や防災セミナ−にも参加、貴重な助言を行なっている。また、同じく雲仙普賢岳の噴火に際し、島原市長として行政対応にあたった鐘ケ江管一前市長も講演に招請している。

 2000年3月31日の有珠山の噴火とその後の防災対応は、岩手山県としてまさに我が事として注視することとなった。検討会のメンバ−、県や周辺市町村の防災関係者などは繰り返し視察に現地を訪れ、6月23日には増田岩手県知事も現地入りした。現地で取材であたった報道関係者も含めて、有珠山の教訓と岩手山への対応を協議するINSの火山防災検討会も開催された。2001年1月29日には、有珠火山観測所長岡田弘教授、長崎良夫虻田町長を岩手に招請、生々しい体験談が披露された。

 岩手山の火山活動が活発化して以降、有珠山の噴火をはじめ、磐梯山の活動の活発化、全島避難が続く三宅島の噴火など、多くの事例が岩手山の火山防災の教訓としてその対応に生かされている。


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