2.岩手山の噴火史

 岩手山は25個以上の小火山から構成され、東西約13kmの長さに配列し、正確には「岩手火山群」と呼ばれる。代表的な山として、小畚山・三ツ石山・大松倉山・犬倉山・姥倉山・黒倉山・鬼ケ城・薬師岳(2038m、山頂)・鞍掛山などがある。一般に山頂の高さの10倍程度の範囲(岩手山では約20km)は火山災害の危険範囲とされているが、その中に県庁所在地が含まれるのは、桜島の鹿児島市と盛岡市のみである。

 約70万年の歴史があるが、活動は西側から東側に移行してきている。最近の活動を以下に示すが、西岩手では水蒸気噴火が、東岩手では溶岩の噴出が特徴的である。また、過去に7回の山体崩壊を起こしているが、この回数は国内で最多である。

@約6000年前 山体崩壊
東岩手の山頂部で大規模な山体崩壊を起こし北東山麓を埋め尽くした。土砂の一部は北上川に沿って流下し、岩手大学工学部付近にも達している。      
A約3200年前 大地獄谷で水蒸気爆発                       
B@〜江戸時代まで間 この間、多数の噴火があり溶岩が流出し、薬師岳が形成され、さらに山頂火口の中に妙高岳が形成された。
C1686年(貞亨3年) 大規模山頂噴火山頂の御室火口の水蒸気爆発に始まり、噴火が本格化し、玉山村・滝沢村・盛岡市などに降灰があり、火山泥流・火砕サ−ジなどが繰り返し発生した。
D1732年(亨保16〜17年) 焼走り溶岩流、薬師岳山腹の5個の火口から溶岩が流出。   
E1919年(大正8年) 大地獄谷で水蒸気噴火      

 (「岩手山の地質−火山灰が語る噴火史」:土井宣夫、滝沢村教育委員会発行、2000、3 による)
 


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