■ 1999年10月以降の岩手山の表面現象の所見 ■ 


■ 黒倉山山頂での噴気量の増加
 10月以降も、噴気は連日ランク3以上で、11月21日には、山頂部および東側崖面全体から強く噴気しているランク7が観測された。11月以降はランク5以上の日が多く、山頂および東側崖面から太い帯状に噴気するようになっている。変化は断続的ではあるものの、高いレベルは従前より長時間継続する傾向がある。

■大地獄谷での噴気量の増加
 大地獄谷では、噴気が谷の稜線近くまで立ち上る場合も散見されたが、12月以降は稜線越えがしばしば観測される。1月19日以降は、連続的に観察していることもあり、連日ランク5以上となっている。噴気孔周辺の雪は飛散した硫黄で黄色く着色している。

■ 姥倉山〜黒倉山稜線部および北斜面での新噴気孔群の増加と噴気量の増大
 100箇所以上の噴気孔から断続的に噴気している。2m以上の積雪があるが、断層に沿って雪の解けた孔が連なって分布しており、それなの孔から断続的に噴気が立ち上っている。北斜面の噴気孔は、東は黒倉山の裸地につながり、西は姥倉山の斜面まで範囲が拡大している。稜線および南斜面でも断続的に強く噴気している。

■ 大地獄谷西小沢での笹枯れ
 99年8月に弱い噴気が確認された西小沢1号は11月11日に笹枯れの範囲が拡大し噴気も数本となり、12月5日・1月19日には20m以上高く吹き上げているのが確認された。西小沢上流の熱水噴出地点でも噴気が確認されている。

 なお、西岩手における表面現象が活発化の傾向にあり、肉眼でも目視できる状況にあるため、噴気の簡便なランク目安を作成し、関連機関に配布した。観察地点により角度が異なったり、総合的にランク付けは行われるべきであることなど、単純ではないが、一応の目安があることによって、共通の土俵で情報交換が行われることとなる。
   

文責:斎藤徳美  「第83回 火山噴火予知連絡会資料」より