■ 1999年2月以降の岩手山の表面現象の所見 ■ 

 98年の岩手山の活動は、9月3日の雫石町での地震までは火山性地震、山体の南北への伸張などが顕著であったが、表面現象は6月・9月に大地獄谷の噴気が通常より高く上昇し、噴気孔からドロの小規模な飛散があった程度である。
 しかし、99年春、雪解けとともに大地獄谷・黒倉山・姥倉山付近の西岩手で顕著な表面現象が確認されるようになった。土井・斎藤らの観測によると、その主なものは以下の通りである。

■ 噴気量の増大
  (1)黒倉山山頂
      5月29日 噴気40〜50mで注目あびる
      6月に3日、7日に11日 同程度
  (2)大地獄谷
      7月6日 噴気100m程度

■ 新噴気の発生
   黒倉山〜姥倉北斜面
      2月に融雪・弱い(北新噴9)発生、4月以降10m〜30m、7月9日には約130mたなびく。継続し
     て噴気あがる。北新噴9より西側の北斜面一帯に新噴気が数m〜10m、7月6日10箇所以上、 7
     月9日25箇所以上から立ち上る。以降、断続的に噴気があがる。8月17日の機上観測ではさらに新
     しい噴気が確認されている。

■ 笹枯れの増大
  (1)地獄谷西の沢
      雪解けと共に笹・立ち木の枯れ死(目視で最大幅50m長さ250m?)した区域が沢沿いにあらわ
     れる。98年10月には存在せず、積雪下で生じた可能性が高い。8月17日の現地調査で、枯れ死
     帯入り口左岸上部に95.3度の新噴気が確認され(7月7日の機上観測では同地点は青笹で、それ
     以降の活動か?)枯れ死帯中部の硫黄沈殿丘のさらに上部に50.9度の温泉が湧出も認められた。

  (2)黒倉山〜姥倉北斜面
      雪解け後、植生の回復が遅れている区域が広がっていることが観測されていたが、新噴気群を
     中心に新たな笹枯れ区域が拡大し、また青笹帯の中の虫食い状に黄変部が点在している。青笹
     の中からも噴気が立ち上っている。8月17日の機上観測では、笹枯れ帯の周辺に、ごく最近笹の
     葉が黄変したと推測される区域の増大が顕著に認められ、活動が進行中である可能性が大きい。

  (3)その他
      大地獄谷上部、黒倉山〜姥倉南斜面にも、昨年には認められなかった笹枯れ区域が確認され
     ている。

■ 地温の上昇
   (1)大地獄谷
       5月12日:143° 8月17日:139°(平林教授測定)
   (2)北新噴9
       5月12日:89.5°(浜口教授) 8月12日:93.0°
   (3)姥倉〜黒倉分岐
       1998、9〜1999、5 連続観測 92°〜94.3°へ(平林教授)
   

文責:斎藤徳美  「第81回 火山噴火予知連絡会資料」より