■ 2001年12月〜2002年2月西側表面現象ついての所見 ■
監視カメラのビデオ映像の解析による大地獄谷の噴気ランク(1日での最高ランク)は、2000年6月末から9月中旬にかけ、2〜4が多く低下傾向にあったが、9月中旬以降5〜8が多くなり、従前と同様のレベルに戻り、その状況が継続している。しかし、主噴気孔周辺に広範囲に付着していた硫黄は、2002年1月26日および2月13日の機上観測では尖塔のごく近傍にしか確認出来ず、尖塔もくすんだ色をしている。火山ガス成分が変化し、活動が低下傾向にあるのかもしれない。
黒倉山山頂の噴気ランクも傾向は大地獄谷と同様である。1月31日に200m程度まで立ち上るのが監視カメラで観測され、2月13日の機上観測時も同程度の高さまで昇る噴気が目視されているなど、噴気の強さは低下していない。但し、山頂の噴気温度は一時96度を越えていたのが92度台に低くなっている。噴気の強い部分が北側に移行しているためか、あるいは、活動の低下を示唆するものか判然としない。 黒倉山〜姥倉山稜線部および北斜面、姥倉山方向などの噴気は断続的に噴いている。特に姥倉山歩行へはなお地熱地域の拡大傾向がみられ、チャンネル4の地温は87度程度まで上昇傾向が続いており、また、姥倉山北斜面のF4に連なる噴気群が融雪孔として機上から確認されている。 以上のように、西岩手山での表面活動は、なお、活発な状況が継続している。右肩上がりにはないが、明らかに低下の傾向ともいいがたい。
文責:斎藤 徳美 「第20回岩手山の火山活動に関する検討会資料」より