■ 2001年11月〜2002年1月西側表面現象についての所見 ■

 監視カメラのビデオ映像の解析による大地獄谷の噴気ランク(1日での最高ランク)は、2006月末から9月中旬にかけ、2〜4が多く低下傾向にあったが、9月中旬以降5〜8が多くなり、従前と同様のレベルに戻り、その状況が継続している。しかし、主噴気孔周辺に広範囲に付着していた硫黄は、2002年1月26日の機上観測では尖塔のごく近傍にしか確認出来なかった。
 黒倉山山頂の噴気ランクも傾向は大地獄谷と同様である。11月19日には、テレビ局ホ−ムペ−ジ画像で午前11時から12時にかけ200m程度の高さに吹き上げるのが見られ、盛岡地方気象台の解析では、早朝には250mの高さに昇っているのが確認された。
 黒倉山山頂の噴気は、2000年1月19日に最大規模を示し(松尾村柏台での土井小枝子氏観測、テレビ岩手監視カメラ映像、「ひめかみ」からの機上観測などの記録あり)、同年11月16日にも高さ250mを記録(盛岡地方気象台)しているが、今回の噴気は約1年ぶりの強いものといえる。
 黒倉山〜姥倉山稜線部および北斜面、姥倉山方向などの噴気は断続的に噴いている。大地獄谷西小沢では、1号噴気より2号噴気が強くなっているが、11月19日の機上観測では、黒倉山崖面に近い3号噴気の勢いが強まる傾向にあるように見受けられた。さらに、12月25日の機上観測では、西小沢1号、2号、3号各噴気帯および大地獄谷主噴気孔の噴気が谷部全域を覆う状況が観測された。
 黒倉山〜姥倉山北斜面のF3に沿っては、東西方向に噴気孔群が配列し、断続的に噴気が立ち上っていたが、12月25日の機上観測では、この配列とクロスする形で新たな噴気孔群が融雪孔として確認されている。また、分岐から姥倉山方向にF4に沿って新たな噴気孔群が連なっているのも確認されている。
 以上のように、西岩手山での表面現象は、右肩上がりの傾向にはないが、活発な状況が継続していると考えられる。

文責 斎藤徳美  第91回火山噴火予知連絡会資料より


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