■ 生活防衛に自助努力も! ■
有珠山が噴火して三ヵ月近くが過ぎました。噴火の予知により、事前の避難が適確に行われましたが、活動の長期化とともに、一時帰宅や避難区域の解除の要望が強まり、研究者も行政も苦渋の判断を迫られています。
百パ−セント安全との保障はない 五月二十二日の火山噴火予知連絡会は討議の結果、「マグマの活動は次第に低下しており、このままの傾向が続けば、噴火が終息に向かう可能性がある」との、見解をまとめました。低下の傾向が続けばという条件付きであるにも拘らず、終息のみが強調されて報道されています。また、今後大規模な噴火が発生する時には事前に予知できる可能性があると述べていることも、予知が可能だから避難区域を解除しても安全、との短絡的な受け取り方をされてはと心配されます。自然現象に百パ−セント安全との保障は得難いのです。 このままの規制が続いては生活が破綻する、農作業も漁業も出来ず生計が破綻して首をくくるぐらいなら、万一の噴火に巻き込まれる危険性はいとわないという、切実な声も否定できません。降水確率十パ−セントで傘をもつかどうかは本人の選択であると同じく、自己責任で危険を侵すのは自由との極論もありますが、行政には住民の生命を守る責務もあります。 住民、行政がどこまで責任とリスクを担い合うのか、困難な課題が突き付けられています。
(共済に加入しよう)
阪神淡路大震災以降、私達は国に「自然災害に対する国民的保障制度」の創設を求め、全国で二千五百万人の署名を戴きました。しかし、全壊家屋に最高百万円を支給する被災者生活支援法という不備な制度に留まっています。その整備・拡充を求める一方で、誰しもが自然災害を被る可能性がある私達住民も、自らの命と生活を守るための自助努力が必要です。 農作物や家畜などの被災は農協の共済に加入することで、必要最小限の保障はなされます。また、家屋の被災には、自然災害共済があります。備えがあればあえて危険を冒さずにすむかも知れません。災害を軽減する「減災」の努力と共に、万一被災した際の備えも必要なことを、有珠山の噴火は示しています。
6市町村広報 2000年7月掲載より