■ 「火山災害対策図」を生かそう! ■

 岩手山周辺六市町村では、三月に策定された「岩手山火山防災ガイドライン」に基づき、具体的な防災対策を行うための「火山災害対策図」を作成し、災害を被る可能性のある地域の住民の方々に配布しました。(ガイドラインの内容は次回に説明させて戴きます)
防災関連施設を詳しく

 平成十年に作成された「岩手山火山防災マップ」は、岩手山が噴火した場合にどのような災害が起きるかを想定したものですが、「災害対策図」は、災害の予想される区域の他、避難場所、避難経路、防災行政無線、防災関連施設などが二万五千分の一と大きな図面に詳しく示されています。    有珠山の噴火に際しては、事前に噴火の予測ができたこと、また行政も住民も火山防災の経験があったこと等から、噴火前の避難がスム−ズに行われました。しかし、岩手山では大きな噴火は約二百七十年起きておらず、行政も住民も初めての対応になります。私達も観測デ−タから、いつ、どのような噴火が起きるのか予測する努力は尽くしますが、有珠山のようにはいかないかもしれません。            
一度は避難の訓練を!

 住民の皆さんには、百%確実という判断が出来ない場合でも、生命の安全を第一に考えて行動していただきたい。例え、予測がはずれたしても、結果的に被害を被らずにすめば、それがもっとも幸せな事と考えていただきたい。行政と住民の皆さんが共通認識をもち、信頼関係が築かれて初めて、行政も空振りを恐れずに迅速かつ適切な対応が可能となるのです。  集落ごとの説明会や避難の訓練が行われますが、ぜひ参加し、対策図から自分の住居や避難経路などを理解していただきたい。そして、一度は自分の足で避難経路をたどり、いざという時の備えだけはしてほしいと願っています。  また、有珠山では、農業、漁業など生計のための一時帰宅に、危険性と隣り合わせで、研究者も行政も苦渋の判断を迫られています。自然災害に対する国の救済制度が不備な現状では、共済への加入など、万一のための自助努力も必要と思います。

6市町村広報 2000年6月掲載より


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