■ これからどうなるの? ■
本号から岩手山の現状や、防災の心構えについて連載させて戴きます。よろしくお願いします。
斎藤は、お酒も飲みます。音楽の成績は2でしたが、おじさんになってからカラオケも覚えました。山がどう動くか、常に緊張していますので、たまにストレス発散にと酔って歌うジュエット曲は”私たちそしてどうなるの?”。しかし、岩手山はこれからどうなるの?と、心は山から離れられません。共生を目指して、皆さんと共に力を尽くしたいと思います。 九八年の三月頃から多発した火山性地震は九九年になって、やや減少しましたが、秋以降、大地獄谷〜黒倉山〜姥倉山といった西岩手山で、噴気の活動が活発になってきました。大地獄谷では数十メ−トル以上、黒倉山でも百メ−トル以上立ち上るのがしばしば観測されます。新しい噴気孔も百箇所以上と増えています。
当面は西側の水蒸気爆発に注意! 西岩手山で水蒸気爆発(地下の熱水や蒸気が暖められ地表の土砂を吹き飛ばす)が起きる可能性が続いています。三月七日のような大きな地震が、きっかけになることもありますので、要注意です。しかし、いつ、どの程度かは予測が困難です。このまま、静かになる可能性もありますし、確実なことはわからないのです。
想定した三千二百年前に大地獄谷で起きた水蒸気爆発程度であれば、直接人家に大きな噴石が降ることはありませんので、緊急避難は必要ないと思います。灰が積もったあとに大雨が降ると、土石流が発生しますので、被災する可能性のある地域の人は、避難の準備だけはして指示を待って下さい。 ただし、自然現象は予測以外のことも起こりえるものです。マップに示されない範囲は安全と過信しないで、日頃から防災への心構えをもち、火山の情報には耳を傾けてほしいと思います。
もし噴火が起きると、大きな被害を被る東側のマグマ噴火は、今は切迫した状況にはありません。異状な事態になってきたら、すぐお知らせします。ただし、東側やや深いところでの地震は、減少しないで続いています。マグマは確実に出口を求めてうごめいているのですから、気は抜けません。
6市町村広報 2000年4月掲載より