■ 七月一日六時から東側規制緩和 ■

(四月末に微動・地震が多発)   
 岩手山は、まずは落ち着いた状態にあると考えています。西側の山体の伸張もおさまり、1年ぐらい前から収縮の方向に転じたように見えます。平成十年の貫入以降、新たなマグマの上昇は起きていないものと思います。しかし、マグマの供給部分と推測される深さ三十キロメ−トル位のモホ面付近の地震や東側の数〜十キロメ−トル程度での低周波地震がおさまっていません。もし、東側から新たなマグマが供給されると、短時間で本格的な噴火に至るかもとの不安が残ります。四月二十六日から三十日までに東側やや深部で六回の微動が発生し(昨年は一年間で合計三回)、低周波地震も三十日には三十九回と多発(一日に二十回以上火山性地震が発生したのは二年ぶり)しました。活動が沈静化に向う過程での一時的な動きならばよいのですが、新たなステ−ジの始まりとの可能性も否定できず、連休中はいささか緊張しました。幸い、その後震源の浅部への移動や規模の拡大もみられず、第二幕の始りではないとほっとしています。 

(ル−ルを守って登りましょう)
 このような出来事もあり、今年の東側四コ−スの規制緩和も、異常発生時には「気象台からの適切な臨時火山情報の発表」「緊急警報装置による確実な情報伝達」「装置の確認し緊急下山するとの登山者の自己責任の自覚」が不可欠な条件となります。サイレンが鳴ったり警告灯が点灯した場合は、速やかに下山して下さい。
 緩和は十月十四日体育の日まで、宿泊は柳沢コ−ス八合目避難小屋のみ可となります。万一の際の安否確認に必要な登山者カ−ド、下山カ−ドを必ず提出し、避難小屋に常駐する監視員の指示に従って安全な岩手山を楽しんでいただきたいと念願しています。観光関係者には、火山との共生を目指す岩手の取組みとして、登山者の方々にご理解戴くようご尽力をお願いします。
 西側での噴気など表面活動は、右肩上がりではないもののなお活発で、小規模な水蒸気爆発の可能性が残されています。将来の規制緩和を視野に入れた安全対策の検討を始めていますが、まだ入山は禁止です。立ち入らないようにお願いします。        


6市町村広報 2002年7月掲載より


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