■ 東側入山への安全対策 ■

(火山の活動はおさまっていない)
 岩手山の火山活動が活発化して三年余がすぎましたが、今なお沈静化とはいえない状況にあります。しかし、周辺地域での観光を始め、地域経済への対処も考慮しないわけにはいきません。
 大地獄谷〜黒倉山〜姥倉山の岩手山西側での噴気活動は活発な状況で、水蒸気爆発などの可能性は否定できません。当分、一般の方の立入りは望ましくありません。 東側はやや深部での低周波地震が継続して発生していますが、噴火が切迫した状況にはありません。もし、危険が迫った時には、山体の周辺に設置した観測機器で事前に異常を感知できると考えています。活動に変化が起きたときには、警報を伝達し入山者の速やかな下山を確保して、東側の一時規制緩和を行なうというのが、安全の確保と地域の要望との狭間でのギリギリの選択なのです。

(警報装置の整備と自己責任)
 岩手山は、山頂まで道路やロ−プウエイのある観光火山ではありません。情報伝達施設も完備していません。このたび、県と登山コ−スのある町村が、御神坂コ−ス鬼ヶ城分岐、柳沢コ−ス7号目、焼走りコ−ス平笠不動分岐地点と御神坂、柳沢(馬返し)、焼走り、上坊の各登山口にサイレンと赤色回転灯を、八合目山小屋前、九合目山小屋前、焼走りコ−ス第一噴出口、薬師岳山頂に赤色回転灯を設置します。そして、御神坂、柳沢、焼走り、上坊の四コ−スの入山が七月一日から体育の日の十月八日まで認められる予定です。 火山活動に異常が起き、気象台が臨時火山情報を発表した時には、警報装置が作動します。ラジオ、ヘリコプタ−などによる呼び掛けもしますが、確実に伝わるとは限りません。登山者は、自分で警報装置を必ず確認し、「サイレンが鳴る」「赤色回転灯が点灯」時には速やかに下山する(サイレンは聞こえにくい場合もあり、赤色灯を必ず確認)、規制している西側へは立ち入らない等自己責任を自覚して戴きたいと思います。 五月から装置の設置等を進め、六月末に安全体制の確認、緊急下山の訓練、火山活動の検討などを行い、条件が満たされれば、三年ぶりの登山が可能になります。

6市町村広報 2001年6月掲載より


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