■ 「火山防災ガイドライン」とは ■

 噴火による被害を少なくするためには、あらかじめ被害の程度を予測し、具体的な防災対策を進めておくことが必要です。
 「岩手山火山災害対策検討委員会」は活動活発期から噴火による避難期、避難生活期、さらに噴火がおさまった後の生活再建期までに何をなすべきかの指針を示した、ガイドラインを三月に作成しました。噴火がどのように起きるかの予測は困難ですが、仮想のシナリオをもとに、緊急避難・救出活動・輸送確保・観光客対応など四三項目の対応の方針・背景・指針などが示されています。このような総合的な火山防災の指針が作られたのは日本でも初めてです。  ガイドラインは、噴火は防げないが、被害を軽減することは出来る、必要な対策を出来るところから実行し、「火山と共生」する「防災先進地域」を目指すことを理念としています。そして、推進のための柱として、防災対策の実務にあたる国・県・市町村の”連帯責任”と、行政・防災関連機関・学識者・住民の”連携”を掲げています。
 税金を払っている私たち住民からすると行政は一体です。しかし、これまで、行政にはいわゆる縦割りの弊害と、責任をあいまいにする傾向がありました。その点を改め、例えば、避難の勧告は市町村長の権限(義務)ですが、判断が難しい場合、県の警戒本部長らが協議し判断し市町村長に助言することも明記されています。
 一方、建設省・森林管理局・県・市町村・自衛隊・県警・気象台ライフラインなどの防災担当者は毎月岩手大学に集まり、連携を深めています。しかし、防災の主役は私たち住民であり、”自らの命は自らが守る”との心構えがなければ、せっかくのガイドラインも絵に書いたモチになってしまうことを心に留めたいと思います。
 たとえこのたびの火山活動が噴火に至らないにしても、岩手山の山麓で生かされていく私たちは、長期的な視野で、共生の努力を続けることが必要と思います。

6市町村広報 2000年10月掲載より


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