■ 火山噴火予知連絡会と県の検討会の役割 ■
三宅島も噴火しました。さらに新島・神津島では地震災害が発生し、まさに私達は自然の中で生かされていることを痛感します。噴火の予測はいづれもほぼ的中しましたが、火山噴火予知連絡会(噴火予知連)の見解が新聞やテレビで注目されました。マッシュル−ムカットの岡田北大教授と共に、細面の井田会長の顔を記憶された方も多いかと思います。
(噴火予知連は日本の学術的権威) 噴火予知連は、火山観測や研究を行っている国立大学や国の研究機関の研究者から構成される、日本の火山に関する最高の頭脳の集まりです。一年に数度定期的に(活動的火山では随時)観測デ−タの検討を行い、火山の活動状況を評価します。噴火など活動的な火山については、現状と今後の予測に関して「統一見解」がだされ、行政の防災対応は噴火予連の見解に左右されています。
しかし、噴火予知連は実は法律的よりどころはなく、気象庁長官の私的な諮問機関なのです。火山情報については気象庁は唯一、公的な機関ですが、その気象庁でも、避難すべきといった防災実務の判断はしなくてもよいことになっています。(それだけ、噴火の予測は難しいともいえます。)まして、噴火予知連に同様の義務はありません。今回、法律的に避難の勧告や警戒区域の設定を行う市町村長(但し、火山に関してプロではない)が判断をしやすいように、踏み込んだ見解をあえてだしたのは画期的ですが、岩手山で同様な判断がだせるかはわかりません。
(県の検討会の役割) 大きな組織である噴火予知連を噴火時に頻繁に開くわけにもいきません。また、状況を噛み砕いて行政に助言する地元の体制も必要です。岩手には火山観測の拠点がなく噴火予知連の正式メンバ−もいないため、有珠山のような部会を立ち上げられるか不透明です。 岩手県には、浜口東北大教授、平林東工大教授、青木東北大名誉教授、酒井盛岡地方気象台長、土井宣夫地熱エンジニアリング(株)技師長、斎藤らによる「岩手山の火山活動に関する検討会」がつくられています。岩手山の噴火時には、噴火予知連の検討結果の噛み砕いた説明や防災対応への助言といった役割を担うと考えています。
6市町村広報 2000年9月掲載より