■ 入山規制は緩和できるか? ■
有珠山に続いて三宅島に避難の勧告がだされました。幸いにして噴火に至らず短時間で解除されましたが、火山としては例外です。 我らが岩手山は、火山性地震が頻発してから三回目の夏を迎えました。火山性地震の回数がひところより減少していることから、入山を認めてもとの声も聞かれますが、緩和してよいのでしょうか。
西側は赤の点滅、東は黄色信号 岩手山の現状を交通信号に例えると、こんなイメ−ジでしょうか。(厳密な定義ではありません)西側は、雪解けとともに大地獄谷の西小沢で十数箇所の噴気群があらわれ、黒倉山の裸地やさらに西側の円形裸地などで地温が上昇し這い松の枯れが顕著になってきました。地温の高い区域が拡大しつつあり、水蒸気爆発の可能性は継続していると考えられます。
一方、東側は切迫した状況にはありませんが、地下数キロ〜十キロ程度のやや深部のマグマの活動にかかわる地震は継続して発生しており、沈静化してはいません。
(情報伝達システムの整備を!)
西側の解除は無理というのは関係者の共通認識です。東側は、今は小康状態でも、いつ切迫し、どの程度の時間で噴火が起きるのか明確ではありません。ですから、規制緩和には登山者へ緊急に下山を知らせる方法の確立が不可欠と思います。ヘリによる呼び掛けは、山体が見えない日が多く不確実です。携帯電話は稜線では通話できますが、基本的にエリア外です。(また、何百人という登山者に誰が連絡するのでしょうか)
個人的意見としてですが、「赤色灯などによる簡易な警告装置を、薬師岳山頂、奥宮、中腹、登山口などの要所に設置し、臨時火山情報などがだされた場合には無線で起動する。入山者には山が活動しており、100%の安全は保障できないことを踏まえて、点灯時は速やかに下山するなど自己責任も求める。」といったシステムを作れないものかと考えます。
研究者の立場からすると、通常は年に数回の地震が千回以上も起きているといった異常な状態である限り、危険は避けるのがベストです。が、地域の要望との兼ね合いで、具体的な対応の模索と合意の形成を図ることも必要と思います。
6市町村広報 2000年8月掲載より